2024-25年度 テーマ

「教養を高める」

会長 藤井 康章



Yasuaki Fujii

 2024-25年度福山丸之内ロータリークラブ会長に就任することになりました藤井康章です。私が入会したのは2018年1月のことでしたので、6年目にして大役をお引き受けすることとなり、身の引き締まる思いであります。

 さて、本年度RI会長ステファニー・A・アーチック氏(米国ペンシルベニア州マクマリーRC)のテーマは、「The Magic of Rotary」(ロータリーのマジック)です。氏はドミニカ共和国での浄水器設置活動の折、浄水器から透明な水が出るところを見た少年から「Show me that magic again」(もう一度魔法を見せて)と言われたことが印象に残り、このテーマとされました。その目指すところは、戦火などによって分断された世界を癒すことです。そして、第2710地区上田文雄ガバナーの掲げるガバナー信条は、「行動しよう、未来のために。=変革に取り組もう=」です。上田ガバナーはDEIの推進を求められていますが、Diversity(多様性)、Equity(公平さ)、Inclusion(インクルージョン)をよりわかりやすく、誰でも(D)、笑顔で(E)、居心地の良い(I)クラブとすることと換言されています。

 私の入会以降、特に困難を極めたのが2020年からおよそ3年に及んだ新型コロナウィルス災厄でした。あえて「災厄」と呼んだのは、そうとしか表現できないほどの大きな社会的・経済的ダメージと私たちの意識の変化をもたらしたからです。すでに起こった変化は完全に元に戻ることはありません。私たちはこのダメージを癒し、自らを変化に適応させるほかないのです。

 本年度当クラブのテーマは「教養を高める」といたしました。すぐにお気づきになると思いますが、このテーマは手段であって目的ではありません。私たちの理念は、よりよい社会となるよう行動し、貢献することであるはずです。

 では、なぜいまさら「教養」なのか。21世紀に入って四半世紀、多様性が最も尊重すべき価値のひとつであることが世界基準として確立されたと言ってよいでしょう。しかし、一方で多様性を認めない文化というものも厳然として存在しており、「多様性を認めない」という価値観も多様性の一種として受け入れるべきではないか、という疑問が生じます。ロータリアンの基本理念のひとつが「寛容」です。すべての場面で寛容が正しいとは限りませんが、自らの考えや受け止め方はあくまで一視点にすぎず、受け入れ難い別の正しさが存在していることを認知しなければなりません。この認知のために教養は必須の要素であり、そうでなくては「ちょっと立ち止まって考える」こともできません。

私は個々のロータリアンの方々はいずれも優れた人格者であり、それぞれが各分野での深い教養をお持ちであることを知っています。魅力あるロータリークラブであるために、広く教養を高める1年にしましょう。